Ⅴ.衛星放送の始まり
  
 本稿は、放送衛星、特にDBS(Direct Broadcast Satellite)に代表される直接受信型衛星放送の世界的発展と各国への導入過程を、関連する切手・FDC・マキシマムカードといった郵趣資料を通じ紹介する。
 郵便資料は、技術革新の成果を視覚的に定着させ、社会的記憶として保存する役割を担ってきた。本蒐集の焦点は放送衛星にあるが、その発展を理解するうえで不可欠な節目として、人類初の人工衛星「スプートニク1号」(1957)や、初の通信衛星「ECHO-Ⅰ」(1960)、国際テレビ中継を実現した「テルスター」(1962)など、通信衛星の黎明期の歩みにも着目している。
 加えて、日本の「放送衛星 BS」を始めとした、各国における独自衛星の打上げと普及を、発行国の切手から読み解く。こうした資料は、衛星放送の普及が単なる技術進歩ではなく、文化的・地政学的展開と不可分であったことを物語る。
 切手は小さな紙片でありながら、宇宙技術の到達点とその共有の歴史を凝縮した証言媒体といえる。

§ 目 次 §


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